足の痛みの専門家による足と靴の悩み対処法

足底筋膜炎治療家として日々の仕事で受けた質問や、行ったアドバイス、対処などを紹介するブログ。足底筋膜炎は多種多様で、想像以上に奥深く、根深い。足底筋膜炎に20年以上悩まされた経験から、少しでも同じ悩みの人の役に立ちたいと思っている。

足底筋膜炎にはインソールがおススメの理由。オーダーの違いや効果、保険適用について知りたい!

 

1足底筋膜炎にインソールはおススメ。理由は?

 私自身の20年続いた足底筋膜炎から解放してくれたのがインソールでした。

だから、インソールは足底筋膜炎にとても有効です。

私の場合、ドイツに整形靴やインソール製作を勉強しに行っていたとき、そこで最初に作った自分のインソールによって痛みが出なくなりました。

だから他の症状以上に確信をもって有効だと言えます。

でも、足底筋膜炎も症状が進んで(重くなって)しまっていると、インソールだけで解決というわけにはいかないということも知っておいてください。

そのため私は、足底筋膜炎には鍼などの施術を必ず行うようにしています。

 

さて、足底筋膜炎に対してインソールを使うことはお勧めですが、どれか一つの優れたインソールがあれば、全ての人の足底筋膜炎を解消できるかというと、残念ながらそんなことはありません。

インソール選びで失敗しないためにも、足底筋膜炎でインソールを検討中の方には、そのあたりの理由も合わせて、足底筋膜炎にインソールが良い理由と、何でもよいわけではない理由を知って、検討の参考にしてください。

 

足底筋膜炎を簡単に言うと

足底筋膜炎というのは、足底腱膜という足の裏を支えるのに役立っている組織が痛みを出していると言われています。

足底腱膜というのは、踵のつま先側から指の付け根まで、足裏の広い面に膜のように張り付いていて、非常に強い組織です。

 

足の裏を支える足底腱膜ですから、その負担を軽減するためにインソールが役に立ちそうだということは、イメージしやすいのではないでしょうか。

 

実際、オーダーのインソールを設計する際も、基本になるのは、いかに足底腱膜の負担を軽減するかということで、それを行えるのはインソールをおいてほかにないと言っても良いくらいです。

 

でも、全てのタイプの足底筋膜炎を解消できるインソールがないので、おススメの既製品を紹介するということもできず、逆に言えば、私のような仕事が必要になるのです。

 

なぜ同じ診断がされたのに、みんな同じインソールではだめなのでしょうか。

 

私自身も、足底筋膜炎に悩んでいたころは、色々なインソールを買ってみたり、日本でドイツ人マイスターが教えるセミナーに参加し、そこでインソールを作ったりしましたが、そのインソールでは改善はありませんでした。

 

「足の裏を支えている組織が痛みを出しているのなら、足の裏を支えてあげれば負担が軽減するのでは?」

それは、一応正解です。

 

足の裏を支えるということは「いわゆる足のアーチを支えるインソールが有効」となるはずですがが、逆に、アーチを支えられるようなインソールだと、足底筋膜炎以外の痛みが生じて余計に痛くなるという人も多いのです。

 

このように、単純に支えるだけでは別の問題が起こることが他にもいろいろとあります。

 

足底筋膜炎は、普段の生活習慣の中で、負担が生じて痛みが出ます。

 

インソールは、その人の体の使い方や骨格に適したサポートをするように設計しなくてはならず、普段の体の使い方とは違ったサポートをしてしまうと、サポートではなく、ストレスになってしまうというわけです。

 

だからもちろん、アーチを支えられると逆に痛くなる人にも他の適した設計があって、それはやはり足底腱膜の負担を軽減してくれて、痛みの軽減に役立つのです。

 

 

2足底筋膜炎のインソールを保険適用で作りたいときの費用と注意点

足底筋膜炎は医師の診断を得て、必要だと判断された場合、医療保険の適用でインソールを作ることができます。

この場合、インソールではなく足底板や、足底装具と呼ばれるようになるのですが、ここでは紛らわしいのでインソールと書くようにします。

 

保険適用のインソールの費用

整形外科を受診して、インソールが必要だと医師が判断した場合、義肢装具会社が製作したインソールは、医療保険の適用となり、窓口の負担金額に応じて一部の費用負担のみでインソールが作れます。

 インソールの費用は、法律によって決められていて、最近は少しずつ上がっている傾向にあります。不期的に変更されるので、ここではおおよその金額で仕組みを紹介しましょう。

 掛かる費用は基本的に、診察費、文書作製費、インソール製作費の3つです。

インソール製作費は、2020年1月の時点で片足約19,000円、両足の場合はその倍ですので、約38,000円になります。

 その金額を10割として、保険の負担割合によって自己負担の金額が変わります。

 

つまり、窓口の負担が3割の場合、先ほどの金額38,000円の3割である11,400円が日ンソール製作費の自己負担の金額というわけです。

 その他に、文書作製費として、3,000円から5,000円と、診察費用などが掛かります。

 

これが基本的な費用の内訳ですが、私のお客様から伺う話では、6万円ほど掛かったとか、文書費用が1万円だったなど、色々なケースがありますので、相談しようと思っている医療機関できちんと費用の確認することをお勧めします。

 

費用の他にもいくつか知っておいた方が良いポイントがあります。

 

先に知ってれば… なんてことにならないように、続いてはそのあたりのことについて説明しておきたいと思います。

  

保険適用のインソールを作る際の注意点

医師によって処方されるインソールは、うまく利用できれば医療保険が適用となり、費用面でとっても良い条件です。

しかし、薬の処方と違って、どこに行っても同じものが出てくるというように簡単にはいかないので、その理由をいくつか紹介して、一つ一つについて補足説明をしています。

 

1すべての整形外科で行われていない。

2すべての保険組合がインソールの製作をサポートしているわけではない

3作る人によって出来てくるものが全然違う

4オーダーメイドのはずなのに、明らかな既製品を販売する業者がある

5片足しか処方されないことがある

 

1すべての整形外科で行われていない

保険適用のインソール製作では、義肢装具会社が受注し製作を行うのですが、義肢装具会社との取引の無い整形外科があり、その場合は処方されません。

また、インソールの処方は医師の判断ですので、その先生が足底筋膜炎にインソールは処方しない方針の場合も、作ることは出来ません。

 

2すべての保険組合がインソールの製作をサポートしているわけではない

健康保険には、様々な団体があって、インソールの処方が対象となっていない場合があります。あらかじめご自分の加入している健康保険組合に問い合わせておきましょう。

 

3作る人によって出来てくるものが全然違う

インソールは当然製作者がいるので、その人の技量によって出来上がってくるものには著しい差があります。

医師の処方によるものとはいえ、薬のように成分があって、処方された薬を飲めば同じ効果が得られるものではありません。

そのため、医師の処方によって作ったインソールであっても、効果があるとは限りません。

 

4オーダーメイドのはずなのに、明らかな既製品を販売する業者がある

「そんなはずない」と思われるかもしれませんが、あります。

私が相談を受ける際に、病院で作ったと言って持ってくる方のを見せてもらう内、10人に1人か2人は既製品だったりします。

 

5片足しか処方されないことがある

医療保険ですので、症状がある側のみ処方されることはよくあって、作製されたインソールの厚みによっては、左右の足の高さが変わってしまい、歩きづらくなったので何とかして欲しいという相談もあります。

 

 

保険適用のインソールは、保険が使えて安く作れるからラッキーという安易な判断はよくありませんし「医師の処方だから、勧められたら作らなくてはいけない」という訳でもありません。どういうものが作られるのか等、きちんと確認して、検討してから製作を依頼するようにしましょう。

 

これは、保険適用に限らないことですが、オーダーのインソールの場合、製作者の考え方や技術力に左右されるため、足の形に合わせたインソールが作れても、足底筋膜炎に対応できているインソールを作れるとは限りません。

 

 

3足底筋膜炎のインソールはオーダーが良い。失敗しないお店選びのポイントは?

足底筋膜炎のインソールは、タイプによって行うべき対処が違います。

 だから、あなたの足の状態、全身の骨格やクセ、日常の動作や生活習慣を反映して作ることができるオーダーインソールが足底筋膜炎には良いです。

 でも、そういう条件を満たしてインソールくを作ることができる店はとっても少ないと言わざるを得ません。

 かといって、一般の人がネットで検索し、ホームページを見ただけでは、どの店が当たりの店なのか分からないはず。

 

決して安くないオーダーのインソールですから、以下のポイントを参考にしていただいて、安心してオーダーできる店と出会う事ができれば良いなと思います。

 

ポイントを2つに分けて、良い可能性が高い店の見分け方と、足底筋膜炎のインソールには不向きな可能性が高い店の見分け方を紹介します。

 

良い店である可能性が高い店の見つけ方

足底筋膜炎にはいろいろなタイプがあるので、足の状態、全身の骨格やクセ、日常の動作や生活習慣を反映して作る事ができる店で頼むのが良いのですが、そういう事ができる所はとっても少ないです。

 

「話を聞いて理解し、足を見て、全身の動きをチェックする技術」と「インソールをそれに合わせて作る技術」は、それぞれ別の知識と経験が必要ですが、この両方を持ち合わせている私のようなタイプを見つけるのは難しいので、このどちらかの技術を持っているところから探してみましょう。

 

例えば、足の相談を受けながら靴を作っている店(売っている店ではない)で、インソールのオーダーを受けているところ。

 

例えば、鍼灸院や整体院、整骨院など、足や全身の相談を受けて施術をしている所で、インソールのオーダーを受けているところ。

 

これらは、そこでインソールを作っていなかったとしても、専門的な知識をもって話を聞き、それを反映して製作できる外部の技術者に依頼している可能性が高いです。

 

 足底筋膜炎のインソールには不向きな可能性が高い店の見分け方

一方で、その店でインソールを加工していたとしても、足型のコピーを作るタイプのオーダーメイドインソールの場合は、足底筋膜炎には不向きと言えます。

 

例えば、オーダーメイドと言っているけれど、実際には簡易オーダーのインソールです。

スポーツ用品店やスキー、登山用品店で見かけることが多いですが、バキュームで足型をコピーし、裏面にプラスチックが付いたインソールを加熱し、その型に合わせて形を作るもののことで、足底筋膜炎用としては不向きです。

 

また、体重が乗っていない状態の足の形を、石膏包帯などで型取りする昔ながらの方法で作るインソールも、足型の単純なコピーとなってしまうことが多いので、足底筋膜炎では避けた方が良いでしょう。

 

色々な店のホームページを見る際の参考にしてみて下さい。

 

もう一つ、オーダーメイドインソールの注意点として、オーダーインソールを作ろうと決めた方の多くが、オーダーならすべての問題を解決できると期待していることだと思います。

 

長く歩くと痛くなる足底筋膜炎はインソールだけで解決できる可能性が高いですが「朝起きた時が痛い」とか「長く休んだ後の歩き始めが痛い」という、足底筋膜炎でも少し程度が重くなってきている場合は、インソールだけでは解消に至らないでしょう。

 

その場合、私は施術で痛みをとることを行い、予防や軽減の目的でインソールを作ることにしています。

 

そういう意味では、治療を行っているところでオーダーするのは、症状が重くなってきている人にとっては良いことだと言えます。

 

足底筋膜炎対策で役立つヒントを、ツイッターでも紹介しています。

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4足底筋膜炎対策にインソールを使う効果は?

足底筋膜炎でインソールを使うのは、足裏への負担を軽減することが第一の目的で、効果はもちろん足裏への負担の軽減です。

 

アーチを支えると言わず、足裏の負担の軽減と言っているのには意味があって、よく言う縦アーチ、横アーチのを支えるというだけではないからです。

 

足に安定感を与えることでも足裏への負担は軽減されますし、足の運動にかかわる筋肉に力が入りやすいようにすることでも足裏の負担は軽減されます。

 

足の形によっては、靴の中で不安定だったり、動いてしまったりします。

 

そうした靴との相性の悪さを改善することもインソールの効果です。

 

また、仕事や日常生活でよくやる動作や、体の使い方のクセによって、足の同じ場所に負担が掛かってしまうような場合、動きをフォローしたり、逆に制限したりすることによって、偏った負担を改善することもインソールの効果です。

 

もちろん、必要に応じてアーチのサポートも行います。

 

サポートの度合いも、アーチに触れる程度からしっかりと持ち上げて矯正するまで状況に応じて様々で、その人の負担の軽減にはどの程度のサポートが必要なのかが違います。

 

このようなインソールによる効果の組み合わせによって、足底筋膜炎の症状の軽減を図るのがインソールを使う目的です。

 

 

次に、どのような症状の足底筋膜炎に、どの程度インソールが役立てるかを知っておきましょう。

 

足底筋膜炎を軽度、中度、重度と分けるとすると、軽度の段階ではインソールを使えば痛みが出ないで生活ができます。

 

軽度の足底筋膜炎というのは、長く歩くと土踏まずに「ピッ」「ピッ」と痛みが走る状態です。

 

この時期の場合、足裏への負担が軽減されていれば、痛みが出ることが無いので、インソールがうってつけと言えます。

 

私は小学生から20年、痛みの程度はどんどん強くなり、最後の頃は痛みが出てくると歩くのを止めないと辛いくらいまでになっていましたが、ずっとこの「軽度」といえる状態でした。

 

だから、インソールが足に合った時から、いくら歩いても痛みが出なくなりました。

 

ちなみに私の足底筋膜炎は、現在この次の段階の「中度」です。

 

「足底筋膜炎治療家が進行しちゃまずいんじゃない?」と思うかもしれませんが、色々な施術の効果やインソールの実験を行うためにわざと痛みを出現させたり、また治したり、また出現したり、治したり…を繰り返しているうちに、中度まで症状が進んでしまいました。

 

もちろん、今は痛みが出ないようにコントロールできているので、日常で痛みが出ることはありません。

 

 

さて、中度についての話に戻ります。

中度というのは、朝起きたときの初めの一歩や、一定時間座っていた後に立ち上がった時や、初めの一歩が痛くなるという状態です。

 

この中度も、初めの一歩だけが痛い初期の状態から、歩き始めがしばらく痛い進行した状態と幅があります。

 

この時期になると、人によってはインソールだけでは解決にならない場合が出てきます。

 

何故なら、朝起きてすぐという、足を一番使っていないときに痛みが出るというところからも分かる通り「負担が掛かっている=痛みがでる」ではなくなっているからです。

 

私は中度以降では積極的に治療を行います。

 

そして、インソールでは足が適切に働きやすい環境を作り、足を適切に使う訓練を行うことで痛みの出ない足を作る必要があります。

 

この時の、痛みが出なくなってからのインソールの役割は「軽度」の頃と同じで、インソールの効果で足裏の負担を軽減して症状が出にくくしています。

 

インソールを使わないでたくさん歩くと症状が再び出てきてしまいやすいことから、痛みが出ているときと痛みが出ていないときで、同じインソールなのに違った効果、役割を果たすことになります。

 

 

 

そして「重度」ですが、これは、足を着くと常に痛いという状況です。

 

不思議なことに、重度であっても、タイプによってはインソールだけで痛み無く歩けるようになる場合があります。

 

ただしその場合、インソールの上に立っているときだけは痛くないという状況で、室内でも、外出時でも、常にインソールの上に立っていないと痛いとなることがあります。

 

もちろん重度ですから、治療や運動も取り入れて総合的に対処していく必要がありますが、ここまでくるとかえってインソールの役割が増すという奇妙な現象が起こります。

 

インソールに期待できる効果としてはざっとこんな感じです。

 

ご自身の足の状態がいま、「軽度」「中度」「重度」のどこにあるのかによって、参考にしてみて下さい。