偏平足の靴はオーダーメイドした方が良いの?質問の意外な意図。
けっこう問い合わせや質問で多いんですね
「私は偏平足なんですけど、靴をオーダーしなきゃいけませんか?」
とか
「オーダーしたほうが良いでしょうか?」
というような問合せですね。
結論から言いますと、別にオーダーをする必要はないと思います。
状況によってはやはり、必要だという人もいるんですが、それは偏平足+「何か」というものがあって、そちらがトラブルとして普通の靴じゃ問題あるよねとなった場合には、必要ですねということもあるでしょう。
ただ、この質問、私が思っていたのとは違う意図でされていることの方が多かったのです。
私は最初の頃、この質問はてっきり偏平足という変形に対する足の健康不安から来る質問だと思っていました。
ところがそうではなかったんです。
それでは、偏平足を健康面から考えたオーダー靴の必要性と、もう一つの隠された質問意図についてお話したいと思います。
動画ではこちらからご覧ください。
私もオーダーメイドの靴を作っていますが、これまでに「偏平足だから」という理由で作った人は多くありません。
偏平足についてはやはりインソールを作ることの方が重要で、そのインソールの効果を発揮させるために靴が必要になります。
だから、偏平足の方にオーダーで靴を作ったとしても、偏平足自体の改善のアプローチはインソールで行います。
そして、靴は、インソールが効果を発揮できるように作るものの、オーダーしなくては駄目というほどの事ではありません。
偏平足の足をしっかりと支えらる強度を持った靴であれば、言うことは無いでしょう。
それから、偏平足のせいですり減りやすい靴底の内側を早めに修理したり、アッパーがヘタって変形してきたら、早めに買い替えるなどの対策が必要です。
しかしそれは、オーダーで作った靴であっても同じことで、同じようにメンテナンスをしたりしなくてはいけません。
つまり、単に偏平足というだけで、痛みも他の何らかのトラブルもないのなら、靴をオーダーする必要はありません。
次に、私が最初は気づいていなかったというか、質問者の意図を組めていなかった、もう一つの偏平足の人がオーダーしたほうが良いかと聞く理由についてお話します。
これは、オーダー靴へのちょっとした誤解もあると思います。
ほとんど女性に限ったことと言い切っていいと思うのですが、普段は幅の広い靴しか履いていないけれど、オーダーをすれば「細身の靴が」「痛くなく」履けるという誤解です。
靴のサイズで「E」とか「EEE」(スリーイー)とかいう表現を聞いたことがありませんか?
これは「靴のサイズ」というのが縦の長さを表しているのに対し、足の横幅や厚みをサイズとしてあらわしたものに「ワイズ」というものがあります。
足の指の付け根の部分の、一周の寸法を表すサイズ表記で、1番細い「A」から「B」「C」「D」「E」「EE」「EEE」「EEEE」「EEEE」「F」(メーカーによってはEEEEE)「G」まであります。
細かいことを言うと、JIS規格では、ワイズが1つ大きくなるごとに6.5mm足の指の付け根の寸法が大きくなります。
縦のサイズが0.5cm大きくなった場合もこの寸法は当然大きくなりますが、この指の付け根の寸法は3~5mmと、紳士婦人とか、メーカーの企画の内容によって違います。
話がずれましたが、「5E」の靴というと、見た目もかなり幅が広い靴で、「E」というと、やや細身の靴といった印象になります。
誤解というのは、足の寸法が「5E」あるけれど、オーダーで作れば「E」ぐらいの見た目の靴が履けるようになるという誤解です。
オーダーの靴を履いたとたん、足が細くなることはありませんから、オーダーをしても靴の見た目が細い靴ができあがってくることはありません。
むしろオーダーの場合、足にストレスを掛けないように、足を締め付けないように作る職人のところだったとしたら普段よりも太く見える靴になる可能性も大きいです。
私もしめつけは嫌いな方なので、いつもの靴よりもやや太い靴になる可能性が高いです。
逆に、細すぎる足で偏平足の場合は、オーダーを勧めることがあるでしょう。
細身の靴の方が最近は見つけるのが難しい状況です。
靴の中で足が泳いでしまっていて、しかも偏平足になるほど足が柔らかいとなると、姿勢への影響も心配です。
とはいえこれも、偏平足だからではなく、偏平足+「細すぎる足」だからというわけですね。
つまり、偏平足だからといって、オーダーは必要ないですよというお話でした。