偏平足と相性の悪い靴【治療家向けシリーズ】教科書には絶対載ってない足裏の痛みを生み出す組み合わせ
【治療家向けシリーズ】は、治療家の方が知っておくと患者さんのためになる靴の知識について話していますので、表現が少し難しくなっている可能性があります。
それでもよろしければ、治療家以外の方も、ぜひご覧ください。
偏平足の人の足のうらに強い痛みを起こしてしまう靴があります。
決して珍しいタイプの靴ではないので、具体的な商品名を紹介してもきりがありません。
靴の特徴を説明しますので、足のうらの痛みで相談に来た患者さんには、靴のチェックを是非行ってください。
このことを知らずにいると、完全に足のトラブルだと勘違いしてしまいます。
偏平足のせいで足のうらに痛みが出ているという間違った判断をしてしまいかねません。
興味をお持ちいただけたら、このままご覧ください。
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こちらの画像をごらんください。
これは、靴の断面図です。
靴底の素材が、靴の側面にせりあがっています。
偏平足だと、この靴底のせり上がりの上に土踏まずがのっかる形となり、足のうらがこのエッジに当たって痛みが出ます。
「いやいや、そんなの気づくでしょ!」
と思うかもしれませんが、こうして断面図でお見せしたから出っ張っていると分かりますが、外側から見たら靴底の一部だし、靴の中を見てもそこには何もありません。
ほとんどの人が靴を疑わないで相談に来ますが、もし仮に靴を疑って、中まで見たとしても、外側の靴底が足裏を刺激したとは気づかないです。
まぁ、気づいた人は私のところに相談に来ないでしょうから、私のところに来た人はみんな気づいていない人という事になるだけという可能性もあります・・・
いずれにしても、このエッジが問題ということに変わりありません。
では、メーカーは何故このエッジをつけたがるのでしょうか。
それは、このエッジが靴を立体的に保つことに役立っているからです。
柔らかい革のアッパーでも、もっと柔らかいニット素材のアッパーでも、このエッジのおかげで型崩れしないで靴の形を保てている靴は多いです。
中には、このエッジが形を保ってくれるので、構造も製造工程もかなり省略することができている靴もあります。
メーカーにメリットが多いんですね。
もちろんそういう靴は、出来上がりが軽くなり、工程が少ない分価格も下がるので、ユーザーにもメリットはあります。
そんなわけで、このせり上がりは、その靴にとって必要な構造というわけです。
だから、今後も無くなることはありません。
それに、この構造の靴でも偏平足の足のうらにいたみを出さない靴もあります。
そもそも、痛くなる理由は、靴底のエッジが、足のうらよりも飛び出ているからです。
この立ち上がっているエッジの分、厚みのあるインソールが入っていたらどうでしょう。
足裏に当たるようなエッジは存在しなくなり、痛くなる靴ではなくなります。
このようなインソールが厚い状態で売っている靴もありますので、外側から見て靴底が厚そうだからと言ってかならずしも足に痛みを生じる靴ではありません。
あくまでも内側から触ってみて、エッジのでっぱりがあることを確認しましょう。
このことを利用すると、現在の足のうらの痛みが、靴のせいからかどうかをテストできます。
エッジの高さを埋めるように、100均のものでいいので、インソールを敷いて靴を履いてみましょう。
それで痛くなければ、やはりエッジが足裏に当たっていたんだということになります。
ただし、インソールを入れた分靴が狭くなりますから、きつくて履けなくなるということも考えられます。
その場合はやはり、このタイプの靴をしばらく履かないようにして、靴のせいかどうかを確認するしかないですね。
偏平足にトラブルを起こす靴について、納得していただけましたでしょうか。
偏平足の人にとっては、このことを知らないと、足に痛みを生じさせる靴を買ってしまうことになります。
治療家にとっては、このことを知らないと、靴のせいなのに足底筋膜炎の治療を行い、でも靴を履くたびに痛みが出るので、最悪の場合だと「帰りに靴を履いて歩いていたらもう痛くなる」ということになってしまいます。
患者さんとしては「治療したけど効果が無かった」と思ってしまうでしょう。
頭の片隅に置いておいていただいて、足のうらが痛いという相談が来たら、ちょっと思い出して、靴の確認をしてみて下さい!