偏平足は治る?子供の偏平足と大人の偏平足の違い【治療家のための靴話】
『医療従事者のための靴話』シリーズは、関わりのあった医師、理学療法士、柔道整復師、鍼灸師の先生方からの質問や相談を元に、治療に役立つ靴の話や、患者さんへのアドバイスのヒントになればよいなという思いから書いています。
一般の方には少し難しい表現が混ざっているかもしれませんので、ご了承ください。
これは、つい先日、定期的に足と靴の相談をするためにお邪魔している整形外科で、患者さんの話をしていた時のことです。
話の流れから「横アーチも完全につぶれてしまっているような偏平足はアーチを積極的に上げた方が良いですか?」というふうに聞かれました。
これは結構聞かれることが多いで、第1回のネタにさせていただくことにしました。
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結論から言うと、足が偏平足だからアーチを上げなくてはいけないということは無いと考えています。
積極的に持ち上げなくてはいけない場合には条件があります。
1、アーチの低下が著しく、進行していると考えられるとき
2、アーチの低下のせいで足自体に痛みが出ていると考えられるとき
3、アーチの低下のせいで、他の場所(膝など足以外)に悪影響が出ていると考えられるとき(痛みが無くても、負担が増しているなど)
これらの場合は、インソールやアーチサポートを使って、持ち上げてあげた方が良いでしょう。
でも、そうではない場合は特別何もしなくても良いです。
確実に偏平足だけれど、足の機能はしっかりしている場合、特にアーチのサポートなどする必要はありません。
例えば、バレエダンサーの中には、強い外反母趾に完璧な偏平足という人もいます。
足の構造が悪くなっていますが、インソールでサポートしなくては踊れないことはありません。
変形のあるままでも、きちんと機能させる筋力があれば何もしなくてもいいのです。
極端な例ですが、でも、そういうことです。
足の変形があっても、それ単独では問題にしなくていいでしょう。
機能低下などの2次的な問題が起こっていたら、もしくは起こりそうだったら、それをサポートするということで良いと考えています。
特に、問題が「起こりそうだったら」というのは、治療家でなくては持てない視点です。
その段階でインソールを作ることで、インソールがトラブル予防のためのツールとしても活用していただけます。
で、ここまでは大人の偏平足の話です。
子供の場合はちょっと違います。
子供のうちは痛みが無いけれど、大人になったら痛みが出てしまいそうだったら、それは早めに対処したほうが良いでしょう。
特に、子供の場合、成長する力を利用して、偏平足の改善は出来るとされています。
実際、子供は反応が早く、特に小中学生くらいだと期待以上の変化がみられたりします。
うちは子供の症例は多くないですが、それでも、スポーツをやっている子供を中心に、サポートによる効果は大きいです。
また、筋肉が未完成なので、構造的な不利をフォローするだけの筋力が無い場合が多いんですね。。
だから、大人に比べると、症状が無くても、状況がそろっていれば、積極的に足を作るようなインソールは有効です。
かんたんな判断基準としては、後ろからアキレス腱を見ると><なっていますよね。
そこから、背伸びをさせたときに、アキレス腱がまっすぐになれば様子を見て、まっすぐにならず、><のままだった場合は、アーチを作るインソールを使用するようにしています。
ただ、繊細ですから、既製品でガツンと上げるというよりも、バランスを見ながら成長する力を利用して変えていくという方向性が良いでしょう。
インソールに足が持ち上げられすぎて、歩き方が変になっている子をたまに見かけますからね。
本日は以上です。
こんな感じで、私が20年前に、治療の手助けになるのでは?と思った靴とインソールは、やはり治療の助けになると日々感じます。
ぜひ、先生方の治療のなかでお役立ていただけると嬉しいです。